生活福祉資金貸付制度の審査落ちで考えられる理由は?相談前に確認したい申込基準
生活福祉資金貸付制度は公的融資制度の1つで、生活に困っているときに利用できる可能性があります。
消費者金融や銀行のローンが組めないほど生活に困窮していても、借り入れは可能です。
とはいえ誰でも利用できる制度ではなく、審査に通らなければ融資の対象になりません。
申し込み条件も厳しく決められているので、どれだけ困っていても審査に落ちる可能性があります。
本記事では、生活福祉資金貸付制度を利用するための条件が分かるよう、以下の内容を解説。
- 生活福祉資金貸付制度の審査に落ちたとき考えられる理由
- 生活福祉資金貸付制度の申込基準
- 生活福祉資金貸付制度の審査に落ちたときにできる対策
審査に落ちたときに考えられる理由や申込基準を知って申し込めば、審査に落ちる可能性を減らせます。
生活福祉資金貸付制度の審査に落ちたときにできる対策についても解説するので、お金に困っている期間を乗り切る参考にしてください。
Contents
生活福祉資金貸付制度の審査に落ちる疑うべき理由は7つ
生活福祉資金貸付制度とは、経済的に自立し安定した生活が送れるよう、生活に困っている人を支援する目的の貸付制度です。
何らかの理由で生活が送れないほど困窮している人に向けて、市町村がお金を貸してくれます。
一般的なローンが組めない状態でも、条件に合えばお金を借りられる可能性があります。
生活福祉資金貸付制度を利用するには、利用条件を満たしているか確認するための審査に通らなければいけません。
低所得世帯、障害者世帯又は高齢者世帯に対し、資金の貸付けと必要な相談支援を行うことにより、その経済的自立及び生活意欲の助長促進並びに在宅福祉及び社会参加の促進を図り、安定した生活を送れるようにすることを目的としています。
生活福祉資金貸付制度に申し込んで審査に落ちたとき、疑うべき理由は以下の7つです。
- 今後の収入が見込めない
- 他の制度や給付金が利用できる
- 自分以外の家族が生活福祉資金貸付制度を利用している
- 住所がない
- 虚偽申請をした
- 債務整理の手続きを済ませた
- 経済的に余裕がありそうだと判断された
生活福祉資金貸付制度は融資制度なので、返済が見込めない人は利用できません。
どうしてもお金を借りられず困っている人向けの最終手段なので、、他に利用できる制度や給付金があるときも、融資の対象外です。
生活福祉資金貸付制度は世帯単位で申請する必要があり、自分以外の家族が利用しているとすでに借り入れをしているものとみなされます。
住所がない人は、まず住所を確定させてから申請しましょう。
虚偽申請は避け、債務整理の手続きを始める前に申し込むと、審査に通る可能性もあります。
審査落ちの理由を確認して、対策ができる部分は改善してから申し込み手続きを始めましょう。
今後も収入が見込めず生活福祉資金貸付制度で借りたお金を返せない
生活福祉資金貸付制度を利用した後も収入が見込めず、借りたお金を返せないと判断されたら、審査に通りません。
生活福祉資金貸付制度は、融資によって生活に困っている人の生活を立て直す目的があります。
つまり、生活福祉資金貸付制度を利用したら自力でお金を稼ぎ、生活できるようになる必要があります。
以下の人は融資後の返済ができない、経済的な自立が見込めないと判断され、審査に通りません。
- 働きたくても怪我や病気で働けない
- 申込前に定職に就いていなかった
- 離職の日から2年を超えて申し込んでいる
- 求職活動をしていない
借り入れによって生活を立て直す必要があるため、借入後も怪我や病気で働けないときは融資の対象外です。
融資を申し込む前に定職に就いていなかった人や離職から2年を超えている人は、生活を立て直すまでに時間がかかると判断される可能性もあります。
働いていない期間が長いほど、前の職場での経験を活かして働くのが難しいと判断されやすくなり、審査で不利になる傾向。
「働く意思があるかはっきりしない」「求職活動をしていない」といった状態では、仕事を得られる可能性が低いです。
お金を貸しても返済が難しいと思われ、生活福祉資金貸付制度に申し込んでも審査に通りません。
生活福祉資金貸付制度の審査に通るには、求職活動をして返済できると判断してもらいましょう。
貸付制度の利用を申請した時点で収入がなくても、将来的に就職できる可能性があれば審査に通ります。
生活福祉資金貸付制度を利用する人は、「働きたくても働けない」「就職活動のやり方が分からない」との悩みがある人を支援する、生活困窮者自立支援制度の利用が可能です。
働いていない人が審査通過を目指すなら、生活困窮者自立支援制度も活用しながら、再就職を目指しましょう。
ただし、審査時に「働く意志があり、体調も問題ない」と判断してもらわなければなりません。
ハローワークに登録していない人や、積極的な就職活動をしている様子がない人は、審査通過できません。
審査時に就労の意思が伝わるよう、ハローワークに登録したり、職業訓練を受けたり行動を起こしておきましょう。
他の制度や給付金が利用できる人は生活福祉資金貸付制度の対象にならない
生活福祉資金貸付制度以外の制度や給付金が利用できる人は、生活福祉資金貸付制度の対象になりません。
福祉協議会の公式サイトでも、以下のように明記されています。
雇用保険の失業等給付、職業訓練受講給付金、生活保護、年金等の他の公的給付又は公的な貸付けを受けることができず、生活費を賄うことができないこと。
生活福祉資金貸付制度制度や給付金の例は、以下の通りです。
制度 | 内容 |
---|---|
失業保険 | 雇用保険の加入者が離職後に再就職先を探す期間中支給される |
職業訓練受講給付金 | 雇用保険を受給できない求職者が公的職業訓練の受講中に受け取れる |
離職者支援資金貸付制度 | 失業で生計維持が困難になった世帯に対して再就職までの間の生活資金を貸し付ける |
日本学生支援機構の奨学金 | 日本学生支援機構で学費を借りる |
母子父子寡婦福祉資金貸付制度 | ひとり親家庭や寡婦を対象として必要なお金を貸し付ける |
生活保護 | 生活が成り立たない家庭に対して最低生活費に足りるよう必要な金額を支給する |
失業前に雇用保険に加入していた人は、まず失業保険を受け取りましょう。
離職日より前の2年間で、12ヶ月以上雇用保険に加入しており、失業認定対象期間に求職活動を行っていると受け取れます。
働いた期間の不足や自営業者で雇用保険が受給できないときは、職業訓練の受講と合わせて給付金が受け取れるケースもあります。
ひとり親家庭や寡婦なら、生活福祉資金貸付制度よりも母子父子寡婦福祉資金貸付制度が優先です。
寡婦とは、配偶者と離婚または死別した、年収500万円以下の女性のこと。
ひとり親であると伝えたら、まず母子父子寡婦福祉資金貸付制度を案内されるので先に申し込んでください。
母子父子寡婦福祉資金貸付制度が利用できず、それでも生活が立ち行かないときに生活福祉資金貸付制度へ申し込めます。
他に利用できる制度や給付がないか確認し、生活福祉資金貸付制度の利用を決めましょう。
分からないときは、市役所や社会福祉協議会で相談に乗ってもらえます。
自分以外の家族がすでに貸し付けを利用している
生活福祉資金貸付制度は世帯単位で申請する貸し付けのため、自分以外の家族がすでに利用しているときは融資の対象となりません。
家族構成 | 生活福祉資金貸付制度の利用者 | 審査通過の可能性 |
---|---|---|
1人暮らし | なし | 〇 |
父母、申込者本人、弟 | なし | 〇 |
父母、申込者本人、弟 | 父 | ✕ |
父母、申込者本人、弟 | 弟 | ✕ |
家族が誰か1人でも融資を利用していれば、世帯全体として借りているとみなされます。
申込者本人が以下の状態のときも、審査に通りません。
連帯保証人になっている
自分名義で他の融資制度を利用している
申込者本人は1人暮らしでも、別世帯の親族が生活福祉資金貸付制度を利用する際の連帯保証人になっていれば申込不可。
申込者本人が母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用し、さらに生活福祉資金貸付制度で借りようとしても審査に通りません。
生活福祉資金貸付制度を利用するなら、家族や申込者本人の借入状況も確認し、融資を受けられる状態か確認してから申し込みましょう。
自分が利用できるか分からないときは、福祉協議会で確認してもらえます。
福祉協議会の窓口で、「申込条件を満たしているか知りたい」と伝えればOKです。
住所がない人は先に住所を確定させなければ制度を利用できない
住所がない人は、生活福祉資金貸付制度を利用する前に住所を確定させなければいけません。
家族が誰か1人でも融資を利用していれば、世帯全体として借りているとみなされます。
申込者本人が以下の状態のときも、審査に通りません。
- 連帯保証人になっている
- 自分名義で他の融資制度を利用している
申込者本人は1人暮らしでも、別世帯の親族が生活福祉資金貸付制度を利用する際の連帯保証人になっていれば申込不可。
申込者本人が母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用し、さらに生活福祉資金貸付制度で借りようとしても審査に通りません。
生活福祉資金貸付制度を利用するなら、家族や申込者本人の借入状況も確認し、融資を受けられる状態か確認してから申し込みましょう。
自分が利用できるか分からないときは、福祉協議会で確認してもらえます。
福祉協議会の窓口で、「申込条件を満たしているか知りたい」と伝えればOKです。
住所がない人は先に住所を確定させなければ制度を利用できない
住所がない人は、生活福祉資金貸付制度を利用する前に住所を確定させなければいけません。
現在住居のある人、または、住居確保給付金の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
出典:政府広報オンライン
生活福祉資金貸付制度の相談先は、住んでいる地域の社会福祉協議会です。
住所が明確になっていないと担当する社会福祉協議会が決められず、必要な支援を受けられません。
住所がない人は、住居確保給付金の申請を行いましょう。
住居確保給付金とは、離職によって経済的に困窮し、住居を失った人や失う恐れがある人に対して、一定期間家賃相当額を支給する制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
対象者 |
|
給付額 | 賃貸住宅の家賃額相当 ※自治体ごとに決められた基準額を超えるときは基準額が上限 |
支給期間 | 3ヶ月 ※3ヶ月単位で最大9ヶ月まで延長可能 |
住む場所の確保が目的でお金を借りる予定なら、住居確保給付金で賄える可能性もあります。
住居確保給付金を受け取ってから生活福祉資金貸付制度を利用すれば、より生活を立て直しやすいです。
最寄りの自治体に相談すれば、手続き方法を案内してもらえます。
住居が確保できたら、必要に応じて生活福祉資金貸付制度の申請をしましょう。
虚偽申請をすると信用を得られず審査に落ちる
生活福祉資金貸付制度の審査で虚偽申請をすると、信用を得られず審査に落ちます。
嘘をついてまでお金を借りる人が、返済の約束を守るとは判断されないからです。
審査に落ちる可能性が高い虚偽申請の例は、以下の通りです。
- 収入があるのにないと嘘をつく
- 年収を実際より低く申告する
- 働く気がないのに就職予定だと伝える
- 借りたお金の利用目的を偽る
収入があるのにないと伝えたり、実際の年収より低く申請したりすると、審査の際の調査で嘘がバレます。
生活福祉資金貸付制度の審査では、世帯全員分の収入証明書類を提出しなければいけません。
書類を隠したとしても、民生委員との面談や調査の過程でバレる可能性が高いです。
万が一借り入れに成功しても、嘘がバレたら一括返済しなければなりません。
今後、どれだけ困っていても他の融資制度も含めて公的融資制度が利用できなくなる可能性もあります。
生活福祉資金貸付制度は返済を前提とした制度なので、就職のあてがなければ審査に通りません。
返済能力を示すため、働く気がないのに就職予定だと伝えても、調査されれば就職活動をしていないと分かります。
生活福祉資金貸付制度で借りたお金は、決められた目的にしか使えません。
借りられる資金の種類は、生活を維持するために必要な費用や教育費です。
認められた以外の目的で借りようとしても、必要経費が分かる書類の提出を求められたときにバレます。
例えば教育資金が目的なら合格通知書や在学証明書、福祉車両の購入なら領収書や見積書を提出しなければいけません。
- ギャンブル
- 趣味や旅行
- 現在抱えている借り入れの返済
- 投資
上記の目的では審査に通らないうえ、仮に通過できても虚偽申告だとバレればすぐに一括返済です。
生活福祉資金貸付制度の審査では慎重に調査が行われるので、虚偽申請はせず正確に状況を報告しましょう。
債務整理を開始した後は借り入れができない
以下の人は、生活福祉資金貸付制度を利用できないケースがあります。
- すでに債務整理を開始している
- これから債務整理を検討している
債務整理の手続きが進んでいる人や債務整理を検討している人は、生活福祉資金貸付制度による貸し付けが受けられません。
債務整理するにあたり、お金を借りる契約が認められないためです。
破産、民事再生など債務整理の手続き中の方、その予定のある方は貸付できません。
破産後の免責が決定していない方は貸付できません。
ただし、破産免責が決定している場合は貸付対象となりますので、「免責決定」の証明の写しを添付してください。
債務整理後の対応が決定すれば、お金を借りられる可能性もあります。
- 自己破産で返済できないと認められた
- 個人再生や任意整理を行って返済を続けている
自己破産は、借りたお金を返済できないと裁判所に認めてもらう手続きです。
自己破産の手続きを行った後、生活を立て直すためにお金が必要と判断されれば、借り入れが認められるケースも。
例えば京都府社会福祉協議会では、自己破産が認められてから1年未満なら借入可能と案内しています。
裁判所を通して返済額を減らしてもらう個人再生や、裁判所を通さず交渉によって返済額を減らす任意整理後でも、生活立て直しを目的として借りられる例があります。
債務整理を予定している人は、手続きが終了してから生活福祉資金貸付制度の利用を相談しましょう。
経済的に余裕があり他から借りられる可能性もあるとみなされる
生活福祉資金貸付制度は生活に困窮し、金融機関から融資が受けられない世帯を対象としているため、経済的に余裕があると判断されれば借り入れはできません。
自分では困っていると感じても、決められた基準から外れている人は融資の対象外です。
生活福祉資金貸付制度を利用できる人の目安は、住民税が非課税になる程度の収入かどうか。
収入が低く住民税を支払っていない人なら、借り入れできる可能性があります。
住民税の計算方法は自治体によって異なるケースもあり、例えば知立市では以下の通りです。
扶養親族 所得の基準 給与収入だけのときに基準となる年収 なし 42万円以下 97万円以下 1人 92万9千円以下 147万9千円以下 2人 124万9千円以下 189万9千円以下 3人 156万9千円以下 235万5千円以下
京都府社会福祉協議会では、生活福祉資金貸付制度が利用できる世帯を生活保護基準の1.8倍以内の世帯と定めています。
相談先の社会福祉協議会によって定義が違うので、「住民税を支払っているか分からない」「基準が分からない」といったときは一度相談しましょう。
収入が多いとの理由で申請を断られたときは、カードローンやフリーローンの利用を検討すると、審査に通る可能性もあります。
生活福祉資金貸付制度の概要と申し込みの流れ
生活福祉資金貸付制度とは、低所得世帯を始めとして以下の世帯が融資を受けられる、公的な制度です。
生活福祉資金貸付制度を受けられる世帯
- 低所得世帯
- 高齢者世帯
- 障害者世帯
制度の概要は以下の通りで、借りられる資金の種類が決まっています。
借りられる資金の種類 | 内容 | 金利 | 連帯保証人不要 |
---|---|---|---|
総合支援資金 | 生活再建や住居の契約を結ぶための資金 |
・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% |
〇 |
福祉資金 | 福祉目的に利用する福祉費 |
・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% |
〇 |
一時的なに生活維持が難しくなったときに借りる緊急小口資金 | 無利子 | 〇 | |
教育支援資金 | 教育関連の資金 | 無利子 | ✕ ※世帯内で連帯借受人を設定 |
不動産担保型生活資金 | 不動産を担保として借りる不動産担保型生活資金 | 最大年3.0% | ✕ 推定相続人から専任 |
要保護生態が不動産を担保として借りる要保護世帯向け不動産担保型生活資金 | 〇 |
生活福祉資金貸付制度は、個人ではなく世帯を融資の単位としています。
世帯の中で別の人が利用していると借り入れできません。
生活福祉資金貸付制度を利用したいときは、住んでいる社会福祉協議会の窓口に相談します。
必要書類が多いので、すべて揃えられるよう説明をきちんと聞いてから手続きを進めなければいけません。
お金を借りている人は生活を立て直せるよう自立支援制度も受けられ、有効活用すれば困窮した状態から抜け出せる可能性もあります。
申込前に生活福祉資金貸付制度のメリットとデメリットも確認して、制度を利用するか判断しましょう。
生活福祉資金貸付は世帯単位利用できる
生活福祉資金貸付制度は、個人ではなく世帯が対象です。
家族のうち誰か1人が申し込みをしたら、他の人も制度を利用している扱いになります。
例えば両親と3人で暮らしている人なら、父が借り入れをしていると子どもは申し込めません。
子どもが成人していても、世帯が同じなら申込不可です。
生活福祉資金貸付制度に申し込める人は以下の通り。
- 世帯主
- 実際に資金を使用する人
申請先の社会福祉協議会によっては、世帯主の借り入れしか認めていないケースもあります。
例えば徳島県社会福祉協議会や九重町社会福祉協議会は、借入申込者を原則世帯主と指定しているため、他の人は申し込めません。
千葉県社会福祉協議会や鴨川市社会福祉協議会は、世帯主だけではなく実際に資金を使用する人の申し込みも認めています。
社会福祉協議会ごとの取り決めに従って、申請する人を決めましょう。
生活福祉資金貸付制度は世帯単位で判断されるので、自分は生活に困っていても世帯として生活が成り立っていれば、借り入れができません。
融資ができるか判断する際は、家族全員の収入が調査されます。
融資してもらえないケース例
母、父、姉との4人暮らし。
母は専業主婦だが父と姉が働いており、家にお金を入れている。
病気をきっかけに退職したが、数ヶ月以内に職場復帰を目指している。
就活のための交通費やスーツ代がなく困っている。
できれば職場復帰するときに一人暮らしをしたいが、引越し費用もない。
上記のケースでは、働く意志があり就職活動もしている状態です。
退職した関係で本人にお金はないですが、父と姉が働いているので世帯としては困窮していません。
「生活はできる」と判断されるため、生活福祉資金貸付制度の審査には通らないケースです。
自分1人お金がなくて苦しんでいても、家族の収入で生活が成り立つときは審査に通らないので、まずは家族に相談しましょう。
生活福祉資金貸付制度の審査基準は融資対象者の条件に合っているか
生活福祉資金貸付制度の審査で重視されるのは、融資対象者の条件に合っているかです。
一般的なローンでは安定継続収入があるかを確認され、一時的でも失業していたり収入額が低すぎたりすると審査に通りません。
しかし生活福祉資金貸付制度は、生活に困っている人を支援するための制度。
一時的な失業や収入の減少があっても、融資対象者の条件に合っていれば審査通過できます。
生活福祉資金貸付制度の対象となる家庭は以下の通りです。
融資を受けられる世帯 | 詳細な条件 | 所得制限 |
---|---|---|
低所得世帯 | ・所得が少なく必要な資金を他から借りるのが難しい ・資金の貸付と必要な支援を受ければ独立自活できると認められる |
市町村民税非課税程度 |
高齢者世帯 | 以下の手帳の交付を受けた人が属する ・身体障害者手帳 ・療育手帳 ・精神障害者保健福祉手帳 |
利用する資金によっては低所得世帯より制限が緩やかになる |
障害者世帯 | 日常生活を送る上で介護を必要とする65歳以上の高齢者が属する |
所得制限は申込先の社会福祉協議会によって異なるケースもあるため、申込時に相談しましょう。
目安となる金額は、1人暮らしで1年間の所得が42万円以下です。
高齢者世帯や障害者世帯も原則同じですが、利用する資金によっては所得制限が緩和されるケースもあります。
家族の中に日常生活において介護が必要な高齢者(65歳以上)や身体障害者(身体障害者手帳所持)、知的障害者(療育手帳所持)、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持)のいる世帯の場合、利用する資金によって所得制限が①より緩やかになることがあります。
例えば高齢者が住んでいる住宅をバリアフリー化するときに、所得制限が緩やかになる可能性があります。
所得制限を超えていると利用できないので、住民税がかかっていない人や定収入で生活が苦しいと感じている人は、担当窓口に相談しましょう。
所得以外にチェックされるポイントは、以下の通りです。
- 今後収入を得る目途が立って借りたお金を返せるか
- 常に生活が困窮している状態ではないか
- 多額の借り入れをしていないか
- 資金の使用目的は明確で健全か
今後も収入が見込めない世帯は、返済できないので融資の対象となりません。
常に生活に困っていて、借り入れをしても今後の生活基準が改善されないなら融資の対象外です。
現時点で多額の借り入れをしていれば、返済に回すお金が多く生活を維持できると判断されるため、融資を受けられません。
借入目的が生活維持のためではなく、ぜいたく品の購入やギャンブルだと、借入目的に合わず申し込み自体を断られます。
どうしてもお金に困っている世帯が生活を立て直したいときにのみ、制度を利用しましょう。
生活福祉資金貸付制度の利用を申請する流れ
生活福祉資金貸付制度の利用を申請する流れは、以下の通りです。
- 住んでいる地域の社会福祉協議会に借り入れの相談をする
- 相談の結果貸付が認められそうなら申請書類を記入し提出する
- 民生委員による面談と審査が実施される
- 審査結果が通知される
- 借用書を作成して提出する
- 貸付を受ける
借り入れの申し込みは住んでいる地域の社会福祉協議会が受け付けているので、まずは相談をしましょう。
借り入れの相談をすると、以下の点を確認されます。
- 家族の就学や就業状況
- 病気や怪我の状況
- 収入と支出の状況
- 借入額
世帯に所属している人は働いているのか、今後働く予定があるかを確認して、融資の必要性や返済ができるかを確認します。
収入と支出の状況の確認によって、貸付によって生活を立て直せるか検討。
借入額が多すぎると生活が成り立たないので、借入状況も調査します。
調査の結果融資が認められそうなら、 申請書類を作成する流れです。
申請書を作成する際は、以下の書類の提出が求められます。
- 収入を証明する書類
- 本人確認書類
- 住民票
- 必要経費のわかる書類
利用する資金や借入の状況によっては追加で書類が必要なケースもあるので、説明を聞いて必要なものを揃えましょう。
申請書を提出したら審査が始まるので、審査結果を知らせる書類が届くまで待ちます。
審査に通ったら借用書を作成し、社会福祉協議会に提出しましょう。
書類の提出後、1週間を目安に口座への振り込みで融資が受けられます。
福祉資金と教育支援資金を借りるときは、地区を担当する民生委員との面談が必要です。
面談の内容は以下の通り。
- 借り入れ相談
- 返済完了までの生活を安定させるための相談
民生委員が申請書の作成や返済中の生活に関して相談に乗ってくれるので、不安があるときは聞いてもらいましょう。
生活福祉資金貸付制度では生活困窮者自立支援制度と連携しながら自立を目指す
生活福祉資金貸付制度で融資を受けた人は、生活困窮者自立支援制度と連携しながら自立を目指す必要があります。
生活困窮者自立支援制度とは、以下の支援を受けながら経済的な自立を目指す制度です。
支援の種類 | 内容 |
---|---|
自立相談支援事業 | 支援員がついて支援プランを作成 |
就労準備支援事業 |
|
就労訓練事業 | 個別の就労支援プログラムを提供 |
家計改善支援事業 | 家計の把握と改善のアドバイス |
子どもの学習・生活支援事業 |
|
社会とのかかわりやコミュニケーションに不安がある人は、基礎能力の養成から支援してもらえます。
就労支援プログラムや家計改善支援を通して、家計の立て直しへの対策も実施。
子どもがいる家庭には、学習支援や居場所づくりも実施しています。
総合支援資金と緊急小口資金の借り入れを希望していて、就職が内定していない人は、生活困窮者自立支援制度の利用が融資の要件です。
支援を受ければ今後の生活が安定する可能性もあるので、融資と合わせて積極的に活用しましょう。
生活福祉資金貸付制度を利用するメリットと知っておきたいデメリット
生活福祉資金貸付制度を利用する前に、以下のメリットとデメリットを知っておきましょう。
分類 | 詳細 |
---|---|
メリット |
|
デメリット |
|
生活福祉資金貸付制度は、連帯保証品を立てられれば無利息で借り入れできます。
連帯保証人を立てられなくても、金利は年1.5%と低金利です。
一般的なカードローンの上限金利は年18.0%で、負担が大きくなりがち。
30万円借りて5年で返済したときの利息の差は以下の通りです。
借入先 | 利息 |
---|---|
生活福祉資金貸付制度 | 11,600円程度 |
カードローン | 157,100円程度 |
生活福祉資金貸付制度で借りると、利息を14万円以上節約できます。
ローンを組むには収入が必要で、一時的であっても失業していると審査に通りません。
生活福祉資金貸付制度は、将来的に就職して返済できるあてがあれば、一時的に収入がなくても借り入れ可能です。
生活に困っていて他から借りられない状態なら、利息の負担を抑えて一時的に収入がなくても借りられる生活福祉資金貸付制度を利用しましょう。
生活福祉資金貸付制度で借りたお金は、自由な目的に使えません。
生活を立て直すために必要な資金のみを借りられる仕組みで、資金の種類があらかじめ決まっています。
「旅行をしたい」「欲しかったものを買いたい」などの理由では、お金を借りられません。
審査時間も長く、一般的なローンが最短当日から1週間程度で借りられるのに対して、生活福祉資金貸付制度では1ヶ月程度かかります。
自由な目的でお金を借りたい人は、カードローンやフリーローンが利用できないか確認しましょう。
生活福祉資金貸付制度で審査落ちしたときの対処法
生活福祉資金貸付制度で審査落ちしたときに考えられる対処法は、以下の2つです。
- 生活福祉資金貸付制度以外に利用できる公的支援を探す
- 民間のローンや人から借りる方法を検討する
生活福祉資金貸付制度は、他に利用できる公的支援がないときに利用できる資金です。
優先できる制度があるため審査に落ちたときは、他に利用できる制度がないか確認しましょう。
収入に余裕があると判断されて審査に落ちたときは、民間のローンや人から借りる方法も考えられます。
審査に落ちた理由を元に、できる対策を行いましょう。
生活福祉資金貸付制度以外に利用できる公的支援がないか探す
生活福祉資金貸付制度の審査に落ちたときは、他に利用できる公的支援がないか確認しましょう。
考えられる制度の例は、以下の通りです。
- 失業保険
- 職業訓練受講給付金
- 離職者支援資金貸付制度
- 日本学生支援機構の奨学金
- 国の教育ローン
- 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
- 障害年金
- 生活保護
仕事を失った人は、雇用保険から失業保険を受けられる可能性があります。
自営業や働いていた期間が足りずに失業保険を受けられない人は、職業訓練受講給付金が受給できる可能性も。
失業したときはハローワークに相談できるので、問い合わせて利用できる制度を活用しましょう。
教育資金に困っている人は、日本学生支援機構の奨学金や日本政策金融公庫が受付先の国の教育ローンが利用できる可能性もあります。
日本学生支援機構の奨学金は、進学後に家計が急変したときにも申請できるので、在学している学校に相談しましょう。
失業や収入の減少で家計が急変したときは、3ヶ月以内に申し出なければいけません。
ひとり親家庭や配偶者と離別・死別した女性は、生活福祉資金貸付制度よりも母子父子寡婦福祉資金貸付制度が優先されます。
母子父子寡婦福祉資金貸付制度は生活福祉資金貸付制度より低金利で、保証人なしでも年1.0%での借り入れが可能です。
怪我をして働けない人は、障害年金を受け取れる可能性があります。
借り入れをしても家計が改善できないときは、生活保護の申請を検討しましょう。
自分で対策法が分からないときは、市町村役場で相談に乗ってもらいながら対応法を決めるとスムーズです。
民間のローンや人から借りられないか再検討する
審査の結果生活に余裕があると判断されたときは、民間のローンや人から借りられないか再検討しましょう。
カードローンやフリーローンは、申し込み時点で収入を得ていなければ審査に通りません。
一時的に失業している人も、家計が立て直せないほど苦しくなければ、再就職した時点で申し込むと審査に通る可能性があります。
大手消費者金融で審査に落ちた人は、審査に独自性のある中小消費者金融に申し込むと審査に通るケースも。
貸してくれる人がいるなら、返済できる時期を明確にした上で借り入れの相談をしましょう。
手元に使っていないブランド品や電子機器があるなら、質屋で借りる方法もあります。
質屋なら万が一返済ができなくても、預けた品物を売却して貸したお金を回収する仕組みがあるため滞納や督促の心配がありません。
ただし預けた品物は戻ってこないので、なくなったら困るものを預けるのは避けましょう。
生活福祉資金貸付制度の審査についてよくある質問
生活福祉資金貸付制度の審査についてよくある質問は、以下の通りです。
- 社会福祉協議会の貸付審査では信用情報機関に情報が照会されますか?
- 生活福祉資金貸付制度の審査で自宅訪問はありますか?
- 生活福祉資金貸付制度の審査結果はどうやって確認すればいいですか?
生活福祉資金貸付制度の審査は一般的なローン審査とは違うので、審査内容が気になる人も多いです。
「信用情報は照会される?」「自宅訪問はあるの?」といった疑問を解消しておけば、申し込みやすくなります。
審査結果の確認方法も知ってから、スムーズに申し込みましょう。
社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度の審査では、信用情報の照会を行いません。
信用情報とは個人の借り入れに関する情報で、信用情報機関に保管されます。
信用情報は過去の返済状況や現在の借入額を確認し、返済能力があるか確かめるために利用される情報です。
生活福祉資金貸付制度は困った人を支援する制度のため、一時的に返済能力がなくても将来返済できるなら融資を行います。
カードローンやフリーローンでお金を貸すのとは基準が違うため、信用情報は確認されません。
ただし審査で借入状況についての調査は行われます。
借入額が多すぎると生活を立て直せないと判断されて、借り入れができない可能性も。
借り過ぎで対応が難しくなった人は、債務整理を行って対応が決定されてから融資を申し込むと、生活福祉資金貸付制度を利用できるケースがあります。
生活福祉資金貸付制度の審査では、以下の資金を借りるときに自宅訪問が行われます。
- 福祉資金
- 教育支援資金
資金の申請前に民生委員が自宅を訪問し、状況の確認を実施。
資金の貸し付け後は返済完了までの相談にも乗ってくれます。
調査に協力しなければ融資が受けられないので、聞かれた内容には正確な情報を提供しましょう。
生活福祉資金貸付制度の審査結果は、申し込みをした社会福祉協議会経由で、文章によって通知されます。
届く可能性がある書類は、以下の2点です。
- 貸付決定通知書
- 不承認通知書
融資が受けられるときは、貸付決定通知書が届きます。
融資が受けられないときでも不承認通知書が送られるので、連絡なしで審査に落ちる心配はありません。
審査時間の目安は、緊急小口資金を除いて1ヶ月程度です。
緊急小口資金は1週間程度で審査結果が分かります。
すぐに審査結果が出るわけではないので、連絡があるまで待ちましょう。